F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第86回:角田選手が地元でポイントを獲得し、フェルスタッペン選手が勝利した、桜咲く春の鈴鹿の日本グランプリ!

 春開催の鈴鹿での日本GP。

 心配された天候も、金曜日のFP2に少し雨が降っただけでしたし、日曜日は暑く感じるほどのナイスな陽気になりました。

 観客動員も22万9000人と昨年を上まわる数となりましたし、ホッといたしました。

 僕にとって今年の最大の楽しみは、「桜」でした。

 これまで、いったい何度撮影に来ているか分からないほどの鈴鹿サーキットですけど、桜が咲いているときにレースがあった記憶がありません。例年なら散った後だという話が多くある中で、これほどドンピシャのタイミングでF1が開催されそうだということで、鈴鹿に向かう前から桜とF1を撮るんだ! という気持ちで盛り上がっていたんです。

 別件もあったんですが、1日早く火曜日に移動して水曜日にサーキットをロケハンしようと思っていました。が、水曜日は朝から大雨……一応プレスルームに行って受付と席とロッカーを確保しただけに終わってしまって、木曜日に桜を探して、お客さんエリアをほぼ1周歩きました。

 結局、S字の上にある桜の数本しか走っているクルマと絡められるとこはなくて……もっとあちこちに桜が咲き誇っているのかと思っていたのでちょっと残念。

 でも、僕の生まれ育った鈴鹿市のサーキットで、日本を代表する桜が満開の貴重なときにF1がやってきてくれて撮影できたのはうれしかった!

 この桜が咲いているエリアはちょうどカメラマンエリアとなっていて、そこにお邪魔して撮影させてもらいました。たくさんのアマチュアカメラマンの方々がいらっしゃって、待ち時間にお話させてもらって楽しかったです!

 このカメラマンエリア席というシステムがあるのは日本独自のものだと思うんですよね。撮影したいと思う人が思う存分撮影することができて場所も移動できるという恩恵が受けられる。サーキット側にとってみてもプラスの収入を得られる。
いいですよね!

 勝ったのはやっぱりフェルスタッペン選手。

 スタート前のグリッドでも余裕が感じられます。

 オーストラリアでは超久しぶりのマシントラブルでリタイア。また連勝記録の積み重ねが始まったのが日本GPということになるのかな?

 2位には順当にペレス選手。予選も2位、こんな感じが続けば今のレッドブルのシートは安泰なんですけどね。

 1回目のスタートの2コーナー、角田選手は12位に下がってしまったんですね。

 ヒュルケンベルグ選手との戦い、タイヤ交換のタイミングの差と言えますけど、お客さんにとってみれば接近戦が見られるのは盛り上がりますよね。

 これまで多くの日本人ドライバー応援席となった2コーナーの観客席の前で。

 地元GPで10位入賞、1ポイント獲得。レース後にマシンを降りてグランドスタンドに向かってあいさつ。

 アロンソ選手。予選5位、レース6位。「レース人生でベストレースの1つ」という発言があるほど完璧な週末を過ごしました。

 テクニカルな鈴鹿を攻略できるドライバーほどチームメイトとの差が出るということなのかもしれませんね。さすがだと思います!

 ハミルトン選手の彼らしいレースを最近見ることができませんね。

 グリッドにて、小松代表と津川さんの奥さま。

 阿部正和さん、スーパーフォーミュラのスリーボンドチームの代表です。

 阿部さんとは僕がオートバイの撮影をしていたころ同じ会社にいたんです。ですから、元同僚。そして角田選手が国内レースを戦っていたときのアドバイザーで、成績が出なかったときに、その才能を評価し信じてサポートを継続したことで今のF1につながったんですね。角田選手にとって大恩人なんです。

 そんな阿部さんとグリッドで立ち話したのは、「F1を間近に見ることができて、これだけたくさんのお客さんが来ることが納得できたよ」とのことでした。

 F1に限らず、どんなカテゴリーのレースでもマーシャルさんたちの存在がなければレースができません。ご苦労さまです。

 そして、興味のある方は、各サーキットのWebサイトなどで問い合わせてみてくださいね!

 三笠宮家の彬子さまが来場されていました。

 ここからは、皆さまから声をかけていただいたり、移動の途中に撮らせていただいた皆さんの写真を載せます。今年も、多くの方々から声をかけていただきました! ありがとうございます。

 写真を撮れなかったり、僕が気付くことができなかったりしたこともあったかもしれませんが、次回はもっと大きな声で「写真を撮って!」って叫んでくださいね!

 日曜日の夜に東京まで帰ってきました。長距離の移動も楽しい快適最高な時間を過ごすことができました。

 ちなみに、鈴鹿から東京までの燃費は12.3km/Lでした。Type RにしてもZにしても、今の時代に買えることが素晴らしい! 僕はやっぱり内燃機関が好き!

 次は久しぶりな中国GP。報道ビザの取得も無事に済んで行けることになりました。

 では、そのときにまた!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。