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ダイハツ、井上雅宏社長が「軽自動車を中心に据えたモビリティカンパニー」を目指すための方針を説明

2024年4月8日 開催

ダイハツ工業株式会社 代表取締役社長井上雅宏氏(中央)、同 代表取締役副社長 桑田正規氏(左)、同 代表取締役副社長 星加宏昌氏(右)による記者会見を開催

 ダイハツ工業は4月8日、今後の事業の方向性について「軽自動車を中心に据えたモビリティカンパニー」を目指し、「もっといいクルマづくり」「モビリティ社会の実現」に取り組んでいくと公表した。

 同日に記者会見が開催され、ダイハツ工業 代表取締役社長井上雅宏氏のほか、同 代表取締役副社長 星加宏昌氏、同 代表取締役副社長 桑田正規氏の3名が出席した。

ダイハツとトヨタグループで強みと弱みを補完

 井上社長はまず今後の会社方針について説明。3月1日の社長就任以降、販売店舗への現場訪問や、仕入れ先への現場訪問、海外事業体など、社内外のさまざまな現場に行って会話をしてきたと言い、「全国にあるダイハツ1000店以上の販売店さまとの直接対話では、『いい加減にしろ』『いつまで待たせるんだ』『お客さまに伝える言葉がないんだぞ』と販売現場の厳しい現状をお聞かせいただきました。現地・現物のリアルな面談にたくさんの思いをいただいた大変濃密な1か月を過ごしてまいりました」と社長に就任してからの取り組みについて話した。

ダイハツ工業株式会社 代表取締役社長井上雅宏氏

 また、「1月30日にグループトップの豊田章男会長が『次の道を発明しよう』というグループビジョンを発表されましたが、私自身、ダイハツの次の道は何なのかと自問を続けておりました。ダイハツの使命はこれまでの、そしてこれからも、日本と海外のお客さまの日々の生活に寄り添い、皆さまの日常の移動に貢献する、人々の暮らしを豊かにしていくクルマをお届けすることであるという原点に思い巡りました。軽については、ダイハツのクルマ作りの源泉であります。良品廉価のものづくりの手法を磨き上げ、お客さまに寄り添い、これまで通り日本のお客さまに必要とされる、喜んでいただけるクルマ作りを極めてまいりたいと思います」と、「軽自動車を中心に据えたモビリティカンパニー」を目指すことに決めた経緯とともに、「日常の足である軽の魅力、可能性を拡張し、将来的には軽のバッテリEVにもチャレンジしてまいります」と、軽自動車のバッテリEVの開発を行なうという展望を語った。

 加えて、電動化、知能化、デジタル技術の活用などダイハツだけではできない取り組みや、ここ数年でモデル数や仕向け地が増えてきたという海外の小型車に関しては、トヨタグループとの連携を深めて取り組むと紹介。特に海外の小型車についてはトヨタ自動車が開発から認証までの責任を持ち、ダイハツがその委託を受けた上で実際の開発を担うように、今後の切り替えモデルから順次変更していくとのこと。

ダイハツ開発車の台数イメージ。海外向けの小型車の台数が急増しているという。この急増した部分についてトヨタとの協業を拡大することで、ダイハツの原点である軽自動車に専念していく

 さらに、事業、商品計画にかかわるリソーセス、リソーセス管理、適正化についてもトヨタが責任を持つ体制とし、これまでダイハツとトヨタの両方にまたがっていた新興国小型車カンパニーを解消。開発から認証までの機能をToyota Compact Car Companyに変更し、今後の成長が見込まれる新興国の小型車は、ダイハツとトヨタグループが強みと弱みを補完するかたちでグループ力を結集し、力を発揮していくとした。

海外小型車のクルマづくりのこれまでとこれから

 最後に井上社長は「ダイハツは強みでございますお客さまの日常生活に寄り添った良品廉価なクルマ作りを磨き上げ、軽を中心に据えたモビリティカンパニーを目指してまいります。ダイハツ単独での自動車ビジネスを考え、グループの中でのダイハツの役割と責任を再定義し、国内・海外のステークホルダーの皆さまに幸せを量産し続けること、それがダイハツへの信頼を回復する手段であると考えております。ダイハツはワンチームで愚直に取り組んでおります」と述べた。

再発防止に関しては星加副社長が、経営改革と風土改革については桑田副社長が説明

 星加副社長は、再発防止について説明。再発防止には、ガバナンスの体制を立て直すとともに、「経営改革」「風土改革」「モノづくり・コトづくり改革」の再発防止策である三つの誓いをやりきることだとした。そのために、正しく認証業務を行なえるよう認証に関する部門の増強をするとともに、くるま開発本部から品質統括本部に認証に関する部門を移した上で、ガバナンス、リスクマネージメント、コンプライアンスを扱うGRC推進部と、三つの誓い改革推進部という組織を4月から新設し、再発防止業務の確実な実行と定着を始めていると、現状の取り組みを紹介した。

ダイハツ工業株式会社 代表取締役副社長 星加宏昌氏
再発防止の三つの誓い
認証に関する部分を開発にかかわる部門から移管させ、独立

 また、これまではボディ、シャシー、エンジンといった開発部門においてそれぞれの部門の壁が高く、連携が不十分な状態に陥っていたといい、競争力向上を狙った短期開発日程のもと、遅れが発生しても日程優先で進めてしまっていたことから、最終プロセスとなる認証で不正を発生させてしまっていたという。

 今後は、開発日程を適切な長さに見直し、想定以上の課題で遅れが発生した場合は、現場が異常を知らせる“アンドンを引く”体制を整備。いったん立ち止まり、リソーセスを助け合ったり、日程を見直したり、あるべき仕事のやり方を進めていくとした。

 そのために、モノづくり・コトづくりの改革として、開発・認証の各ステップで次のステップに進めるかどうかの判断を確実にするため、責任者の明確化と出来栄えを確認するための関所を規定として定めるとともに、その仕組みが有効に働いているかどうかを監査する仕組みも実行。確実にアンドンを引ける仕組みにしていくとした。

 桑田副社長は、経営改革と風土改革について説明。これまでは組織の階層が多く、縦割りであったことから、現場で起きている問題を経営陣が正しく認識できなかったと指摘。

 このことから、5月から経営体制の変更を行ない、統括部長、副統括部長という肩書を廃止することで5階層から3階層へとスリム化し、縦のコミュニケーションの改善を狙うとともに、縦割りであることを解消するために、社長、副社長の3人と、本部長、海外事業体のトップのメンバーでコミュニケーションを深め、横軸での連携を強化していくとした。

ダイハツ工業株式会社 代表取締役副社長 桑田正規氏
統括部長、副統括部長という肩書を廃止することで階層をスリム化

 風土改革については、業務量が増えるとともに、人材が滞ることによって、上司に素直に物が言えなくなってしまった部分があったとし、人を中心とした会社にすべく双方向のコミュニケーションの強化や、ローテーションも含めた人材育成の強化、仕事の仕方の変革などに取り組んでいくと表明。

 ただし、「風土改革にはこれが決め手というものはございません」と話し、「時間がかかりますが、まずは私どもが率先して現場に行き、実際にやっている人と向き合い、現場に元気を取り戻してまいりたいと思っております。ダイハツが人を中心に添えた会社として再生できるよう取り組んでまいりますので、今後も見守っていただければと思います」と、地道にコミュニケーションをとりながら改善を進めていくとした。