試乗記

ヒョンデ、バッテリEV第2弾コンパクトSUV「コナ」の魅力を探求! さまざまな工夫を凝らした乗り味は価値あり

ヒョンデが日本へ導入したバッテリEV第2弾のコンパクトSUVモデル「コナ」を試乗する機会を得た

 ヒョンデ(Hyundai)のバッテリEV第2弾は、コンパクトSUVの「KONA(コナ)」だ。コナは日本ではあまり知られていないがグローバル展開されている人気SUVモデル。さまざまなパワートレーンをそろえ、2代目の現行型はバッテリEVを中心に開発された。日本への導入モデルはこのバッテリEVのみになる。

 コナの最大の特徴はデザインにある。「アイオニック(IONIQ)5」から採用された水平基調のピクセルを使ったラインはコナを際立たせ、さらに柔らかい曲面と組み合わせて独特の味を出している。テールランプはリアのホイールアーチのエンドに配置され、好き嫌いが分かれるもののコナのユニークさを表している。

試乗したコナのグレードは「Lounge(ラウンジ)」で上級グレード
コナのボディサイズは4355×1825×1590mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2660mm、ラウンジの車両重量は1790kg
装着タイヤはクムホの「ECSTA PS71」でサイズは235/45R19
特徴的な「ピクセルグラフィック」デザインを採用
ボディサイドはZ形状の“鎧”を模したアーマーデザインで力強さを表現した
充電ポートはフロントバンパーに内蔵。普通充電と急速充電(CHAdeMO)に対応

 サイズはグローバルでのコンパクト設計だが4335×1825×1590mm(全長×全幅×全高)で日本ではゆとりのサイズだ。ホイールベースは2660mm。コナは日本以外では内燃機も併売しているので兼用のプラットフォームとなり、バッテリEV専用プラットフォームと比較すると少し短めだ。

 室内長は必要十分以上のスペースを持つ。後席も無理なく着座姿勢を取れ、前席のシート形状を工夫してレッグルームを作り出している。シートは体圧が均一にかかるように“ゼログラビティシート”をコンセプトに開発され、ロングドライブでの疲労を軽減すると言われる。

 インパネには12.3インチディスプレイを2面備えたヒョンデの最新トレンドに則っている。操作系はディスプレイからアクセスする機能スイッチは整理されており、日常的に使うエアコンやシートヒーターなどのスイッチはパネル外に配置されており使いやすい。

 シフトセレクターは、コンパクトにステアリングコラムに移動させたことで、センターコンソール部にはユニークな回転式カップホルダーや大きな収納スペースがあり、アイオニック5で見せた空間活用はコナでも受け継がれている。

水平基調でシンプルなコクピットを造形。使い勝手を考慮して物理ボタンもあえて残している
12.3インチデュアルパノラマディスプレイを搭載
前席はUSB Type-Cポート×2と、ワイヤレス充電も備える。ドライビングモードの切り替えはダイヤル式で素早い変更が可能
前席はアイオニック5と同じく疲れを癒やしてくれるリラクゼーションコンフォートシートを採用。シートヒーターだけでなく通気性を高めるベンチレーション機能も備わる
後席はリクライニング機構やフラットフロアによって快適なスペースを生み出し、シートヒーターも標準装備
後席にもUSB Type-Cポート×2と15Aの100V電源を備えている

 グレード展開は、エントリーモデルの「Casual(カジュアル)」、中間モデルの「Voyage(ボヤージュ)」、今回試乗した上級モデル「Lounge(ラウンジ)」とラウンジの2トーンカラーモデル「Lounge Two-tone」の4タイプ。カジュアルのみバッテリ容量48.6kWhの航続距離456km。中間モデルのボヤージュとラウンジのバッテリ容量は64.8kWhで、ボヤージュの航続距離は625km、ラウンジの航続距離は541kmとなるが、この差はタイヤサイズや重量によるという。駆動方式はいずれもFFのみの設定で、最高出力はカジュアルが99kW(135PS)、最大トルクは255Nm。ボヤージュとラウンジは150kW(204PS)/255Nmになり、高トルクはBEVならではだ。

 装着タイヤはクムホのヨーロピアンスポーツタイヤ「ECSTA PS71」のSUV用サイズ、235/45R19という大径タイヤを履く。車両重量はLoungeで1790kgとICE車より重いものの、BEVとしては妥当なところではないだろうか。

ボンネットを開けるとブレーキフルードやラジエータ液、ウィンドウウォッシャー液などの補充が可能
センター部分のコンテナボックスはネットも装備するほか、純正アクセサリーには仕切りのある「H Genuine KONA フランク収納ケース」も用意している
ラゲッジスペースは466Lを用意
アンダーボードは2段階で使い分けできるようになっている

 ホイールベース2660mmのコナは、市街地でも取りまわしがいいのも特徴。1825mmの全幅は少し広いが、意外と狭い道路でも扱いやすかった。

 加速力はバッテリEVらしく俊敏だが、感覚的には乗り慣れたガソリン車のようなジワリとしたところがコナの味付けだ。ガソリン車から乗り換えても違和感がない。加速時のアクセルストローク量も余裕があり速度コントロールもしやすい。

 ドライブフィールは、ユニークなエクステリアとは裏腹に普通を目指している。もちろんバッテリEVらしい滑らかな加速も振動のない乗り心地だが、それ以外に特別なところはない。ちなみにパドルシフトは左側で0→1→2→3→i-PEDALとなり、右側ではi-PEDAL→3→2→1→0と好みの回生力を選べる。

加速力はバッテリEVらしく俊敏だが、感覚的には乗り慣れたガソリン車に近い感覚

 i-PEDALのモードは回生力が強く、アクセルオフでは停止まで行なえる。慣れると使いやすいモードで、バッテリの節約も自然と行なえる。さらにスマート回生機能はオートモードにすれば、前方の交通状況に応じて回生力を変える芸当もやってのける。

 ラゲッジスペースは後席使用時で466L。シートを折りたたむと1300Lとかなり大きい。さらにフロントにはカバーつきのトランクボックスがあり、こちらにも汚れ物などを放り込んでおけるなど意外と重宝する。

 ナビゲーションを設定するとAR(Augmented Reality:拡張現実)で行き先を表示してくれるので、入り組んだルートでも分かりやすい。また、マップ情報もOTA(Over the Air:無線)で自動的に更新してくれるので、いつも最新の地図を見られて安心。ついでに言えばソフトウェアもOTAで更新され、常に最新の車両制御状態となっているのも嬉しい。

加速時のアクセルストロークも余裕があり速度コントロールもしやすい
ARナビは実際の風景を取り込んでナビ情報を重ねるので直感的に判断できる

 走り心地の第一印象はヒョンデ車らしく、リアを固めた設定で突き上げ感が大きいことだ。スポーティに走らせようという意図は見て取れるので、それなりにクイックだがSUVという性格を考えるともう少し穏やかな上下収束が好ましいと感じた。面圧分布に優れたクッションストロークのあるシートによって小さなショックは吸収してくれるが、大きなショックはちょっと強めに感じる。

 静粛性ではバッテリEVならではのパワートレーン系の振動と音の恩恵にあずかれ基本的には静かで心地よい。ただ静かな分ロードノイズ、特に後席ではCピラーを伝わってくる音が耳につく。

 ドライブモードは「Eco」「Normal」「Snow」「Sport」があり、Sportではアクセルの反応がシャープで、同時にステアリング操舵力も重くなる。メリハリの効いたモードだが、操舵力はNormalでも重いので、全体に軽くしたいところだ。

ワインディングもパワフルで余裕の走りだった

 ADAS系も充実しており、高速道路での車線維持などのドライバーをアシストしてくれる進化した前車追従システム「ハイウェイドライビングアシスト2」や「NSCC(ナビゲーションベーススマートクルーズコントロール)」を搭載するほか、対向車線変更や側方車の進路変更に際しての衝突対応補助システム「FCA(フォワード・コリジョンアボイダンス・アシスト:前方衝突防止補助)」なども搭載している。

 またADAS系とは関係がないが、静かなEVは歩行者には気づかれないために20km/h以下でも走行音の発生が義務づけられているが、これまでの電子音とは違った、コナならではのユニークで優しい音も選択できて面白い。

ADAS系の装備も充実しているコナ。運転する安心感も高いだろう

 大きなバッテリを搭載するバッテリEVならではの装備ではV2H(Vehicle to Home)、つまり設備さえ設置すれば家庭への給電も可能になり、EVを合理的に使うにはこのようなシステムも今後発展していくだろう。

 ヒョンデらしくバッテリEVならではの工夫を凝らしたSUVモデル、使い方など1度体験してみるのもわるくない。

気になった人は1度ぜひ試乗してみてはいかがだろう
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。

Photo:高橋 学