写真で見る

写真で見る ホンダ「ヴェゼル」(2024年改良モデル/e:HEV X ハントパッケージ&e:HEV Z プレイパッケージ)

e:HEV Zをベースに新設定された「e:HEV Z プレイパッケージ」は都会をイメージしたモデル

 本田技研工業は4月25日、コンパクトSUV「ヴェゼル」のマイナーモデルチェンジを発表し、4月26日より発売を開始する。

 マイナーモデルチェンジでは、1.5リッター DOHC i-VTECエンジン搭載の「G」、1.5リッター DOHC i-VTECエンジン+2モーターハイブリッド搭載の「e:HEV X」「e:HEV Z」を展開。さらにそれぞれにパッケージモデルとして「e:HEV X HuNT(ハント)パッケージ」「e:HEV Z PLaY(プレイ)パッケージ」を用意する。価格はガソリンモデルの「G」が264万8800円で、e:HEV(ハイブリッドモデル)が288万8600円~377万6300円。

 駆動方式はGが4WDのみで、ほかはFFと4WDも設定。トランスミッションはガソリンエンジンのGのみトルクコンバーター付きの無段階オートマチック。e:HEV(ハイブリッドモデル)は電気式無段変速機となる。

グレード体系を整理してパッケージモデルを新たに設定

 従来モデルではガソリンエンジンのGグレードのほか、ハイブリッドモデルのe:HEV Xとe:HEV Z、そしてe:HEV プレイというグレード展開となっていた。そしてラインアップの中ではe:HEV プレイの人気が高かったが、駆動方式がFF設定のみだったため、4WDを希望するユーザーから不満の声も聞こえていた。

 そこでマイナーモデルチェンジでは、e:HEV プレイをグレードではなく「e:HEV Z プレイパッケージ」というe:HEV Zグレードのパッケージモデルとして再設定したことで4WDを選択可能にした。

 また、生産工程の都合で納期が伸びる原因だったパノラマルーフ(従来モデルのe:HEV プレイには標準装備だった)をオプション設定とし、さらにe:HEV Z プレイパッケージにはマルチビューカメラシステムとプレミアムオーディオがオプション設定となった。

 もう1つ、マイナーモデルチェンジではe:HEV Xをベースとする新たなパッケージとして「e:HEV X ハントパッケージ」を設定。専用の加飾やルーフレールを装備し、インテリアもコンビシート×ファブテック(FABTECT)を使うことで、エクステリア同様にアウトドアのイメージを作り出している。

 なお、ホンダでは新型車としてコンパクトSUVモデル「WR-V」を発売したことから、ポジションがやや被るGグレードのFFは廃止している。

都会とアウトドアを行き来するイメージとして設定された新たに設定された「e:HEV X ハントパッケージ」。ボディカラーはボタニカルグリーン・パール

新型ヴェゼル e:HEV X ハントパッケージ

 まずはマイナーチェンジで新たに設定された「e:HEV X ハントパッケージ」から見ていく。

 従来モデルにたいして新型ヴェゼルではフロントグリルの形下側を絞るような形状になり、よりスマートな顔つきになった。また、同時にフロントバンパーの造形も変更され、バンパーセンター下部及びフォグライトガーニッシュにはカッパー・メタリックの加飾が入った。ヘッドライトやフォグランプには変更はない。

 リアまわりは、従来モデルはコンビネーションランプに電球も使っていたが、マイナーモデルチェンジではすべてLED化。また、灯火デザインも従来モデルではランプの外周に沿うようなものだったが、水平基調に変更しワイド感を付与した。

新型ヴェゼルe:HEV X ハントパッケージ。グリルの形状変更がされた。また、グリルの下部を絞ったデザインにしたため、バンパーのグリル横の造形に絞り込みが入った
ルーフレールが付いたことでアウトドアイメージが強まった。ベースがXグレードなのでホイールは16インチ
リアコンビネーションランプをオールLED化。また、デザインを水平基調とした。リアバンパーセンター下部は加飾仕上げとなる
e:HEV X ハントパッケージではグリル上部の加飾がマットなシルバー系となる。また、グリルは下部に絞り込みが入ったことで小顔化された印象になった。フォグライトガーニッシュとバンパー下部にはカッパー・メタリックの加飾が入った
フルLEDヘッドライト(デイタイムランニングランプ付き)。マニュアルレベリング機構となる
ロービーム点灯時
ハイビーム点灯時
ウインカー作動時
リアコンビネーションランプ消灯時
リアコンビネーションランプ点灯時。横基調のラインが2本となった
ブレーキランプ点灯時
ウインカー作動時
バックランプ点灯時
キャリアなどを装着できるルーフレールを装備
フロントグリル上部のガーニッシュと同色のミラーカバーが付く。e:HEV X ハントパッケージはマルチビューカメラシステムの設定がないので左ミラー下部には補助ミラーが付く
ホイールは16インチを装着。e:HEV X ハントパッケージではカラーが専用になる。タイヤは215/60R16
リアホイール。タイヤはフロントと同じく215/60R16

静粛性が高められたインテリア

 e:HEV X ハントパッケージに限らず、マイナーモデルチェンジにてヴェゼルはエンジンルームと室内の隔壁や、フロアのカーペット下に遮音材を追加するなど、従来モデルより静粛性が高められている。

 また、ルーフライニングには音を吸収して反響しないようにする吸音効果のある素材が使われているが、マイナーモデルチェンジではインシュレーターの厚みを2倍にしたほか、ルーフライニングがカバーする面を広げることで(側面側を伸ばして耳に近い位置での反響を抑えた)、走行時に聞こえるノイズの抑え込みを徹底している。

エンジンルームと室内との壁面=バルクヘッドの遮音材は従来よりも40%ほどアップしている。また室内インパネ統合インシュレーターの厚みも15%アップしている
ボンネット裏に付く遮音用カバーの内部にある吸音材の容量を28%アップしたという
ルーフライニングのインシュレーターの厚みを2倍にしたほか、サイズを大きくして耳に近い位置まで覆うようにしている
メーターまわりのデザインに大きな変更はない
ステアリングスイッチにも変更はない。右側スイッチは先進安全装置「Honda SENSING」の操作用。ステアリング裏側の左右にはシフト操作用のパドルも搭載
左側スイッチはオーディオ系の操作用
ステアリング横のスイッチ類も変更なし。ヘッドライトの光軸(高さ)調整やTRCのON/OFF、フロントワイパーデアイサー、パーキングセンサーのスイッチ類が配されている
ステアリングはチルト&テレスコピック機能付き
e:HEV X ハントパッケージは9インチナビを装備
エアコン操作部。運転席側に操作頻度の高いスイッチ(ノブ)を集約している。下には小物が置けるトレイがあり、右には充電用のUSB-Type-A、左はUSB-Type-C端子も完備。トレイの下にはアクセサリーソケットも備える
センターコンソールの小物入れ。従来モデルでは助手席側の面に「壁」があった。これはデザイン性によるものだったが助手席から小物入れを使うには不便だったことから、左右同じデザインにして使い勝手が高められた
2本分のドリンクホルダー。ツメの部分は押すと引っ込むので太めのペットボトルも格納できる
グローブボックス(閉)
グローブボックス(開)

 その他、全モデルともにメーター表示の変更も行なわれ、灯火類の点灯状態がグラフィックで確認できるようになった。

 オートライトが主流になってからは「暗くなったらスイッチを操作してライトを点ける」という動作をしなくなったためか、ライトスイッチがオート以外の位置にあった場合、そのまま無灯火で乗ってしまうケースも見かけるだけに、グラフィック表示の導入はライトの付け忘れ予防になることが期待できる。

運転席メーターの中央から左側は「マルチインフォメーション・ディスプレイ」で、さまざまな情報を表示できる
灯火類が点いていない状態
ヘッドライトが点いている状態
ブレーキランプ点灯状態
ハザードランプ点灯。ウインカー点灯、バックランプ点灯状態も表示する
シートの形状も従来モデルと変わりないが、e:HEV X ハントパッケージではシート表皮にプライムスムース×ファブリックにカーキ&ネイビーの専用カラーを用いたコンビシートを採用
運転席と助手席の間にはアームレストを装備
アームレストのフタを開けると小物入れになっている
サイドシルにあるプロテクターはドア部に付いているので、ドアを開けたときにサイドシルが太くならない。そのため乗り降りがしやすい。地味な部分だが乗る人のことを考えた親切な作り
リアシートの形状は変更なし。e:HEV X ハントパッケージは専用シート表皮。ファブリックの素材には撥水、撥油機能のある「ファブテクト」を使用している
リアシート用ヘッドレストのクッション材を柔らかいモノに変更。頭を預けたときの心地よさの向上が図られている
リアシートセンターには引き出し式のアームレストを装備。今回のマイナーモデルチェンジで、アームレストにベルトを追加して引き出しやすくしている。また、ベルトが座面との高さを調整するので、アームレストが前下がりになりすぎないようになった
後席用の小物入れ
後席はマイチェン前と同じくチップアップ機構を備える
座面を上げて、足の部分を畳むとロックされる。チップアップ機能を使うと高さのあるスペースが作れる
片側ずつチップアップさせることもできる
後席は6:4の可倒式
片側ずつ背もたれを前側へ倒すことができる
両方倒した状態
ヴェゼル後席の特徴。前倒しをした背もたれはフラットな状態で収まる。SUVでこのようなシートアレンジができるのはヴェゼルのみという(2024年4月時点)
背もたれとラゲッジスペースがフラットになるので、積載性にすぐれるだけでなく、車中泊にも便利
ラゲッジ右側にはちょっとした小物入れも搭載。照明も付いている
ラゲッジ左側にも小物入れ。照明も左右にあって親切な作り
テールゲート開口部下側は、開けたときに腰掛けることも考慮した高さに設定したという
テールゲートのガラスをよく見るとヴェゼルのシルエットが入っている

e:HEV Z プレイパッケージ

 従来モデルではグレード展開だったe:HEV Z プレイが、e:HEV Zのパッケージとなって再登場。これにより従来モデルではFFのみだったところが、e:HEV Zに設定されるFFと4WDから駆動方式が選べるようになった。また、e:HEV プレイの特徴であったパノラマルーフをオプション設定としたことで、価格の抑えと納期の短縮ができたと言う。

ヴェゼルe:HEV Z プレイパッケージ(4WD)。ボディカラーはシーベットブルー・パール
Aピラーからルーフ部のカラーがシルバーとなる2トーン仕様。サイドミラーはブラインドスポットモニター付き
この角度からはボディ横の水平基調ラインがよく分かる。リアコンビネーションランプをオールLED化したラインとのつながりも見える
フロントグリルにはe:HEV Z プレイパッケージ専用のトリコロールアクセントが入る
フルLEDヘッドライト。e:HEV Z プレイパッケージのヘッドライトはアクティブドライビングビーム機構が採用されている
ホイールは18インチになる。タイヤは前後とも225/50R18
リアホイール。撮影車はミシュランタイヤの「プライマシー4」を履いていた
e:HEV Z プレイパッケージのインテリア。カラーはグレージュ×ブルーと明るい雰囲気
フロントシート。ピンストライブとステッチの色にライトブルーが使われる
ドアトリムのデザイン
リアシート
シートやアームレストにはオリジナルのタグが付く。このへんはインテリアデザイナーがこだわった部分
センターコンソール後端。エアコン吹き出し口と充電用USB Type-C端子がある
オプション設定のパノラマルーフ。シートを倒せば空を見上げることができる
リアシート側からのパノラマルーフ
パノラマルーフ(シェード仕様状態)
上から見たルーフ
パノラマルーフ車は構造上、ルーフライニングでの吸音効果が落ちるので、カーペット下の遮音材を増やしているという
e:HEV Z プレイパッケージは都会的な雰囲気。e:HEV X ハントパッケージとは性格を明確に分けているので、今回のパッケージ設定は選びやすい
マイナーモデルチェンジされたコンパクトSUV ヴェゼル。純正アクセサリー装着車と標準車は別記事にて紹介する